ユヴァル・ノア・ハラリの『緊急提言 パンデミック』要約・書評

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ろいど

どうも!ロボットのように働くアラフォー会社員、ろいどです!
今回ご紹介する本がこちら

『緊急提言 パンデミック』

  • 著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
  • 発行:株式会社河出書房新社 2020年10月30日 初版発行
  • ページ数:125
  • 定価:(本体1300円+税)
  • 難易度:★★★☆☆(普通)

この本は歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対する見解の緊急な発表を収録したもので、日本のオリジナル版。

ユヴァル・ノア・ハラリといえば、サピエンス全史などの著者として有名ですね!

そんな彼が新型コロナによる世界的危機の中で発した全人類へのメッセージとは?

こんな疑問を持つ方にオススメの本

  • コロナに対する対抗手段とは?
  • コロナ後をどう生きるべきか?
  • 著者が危惧する未来とは?

この記事では、私の感想を交えながら『どんな本なのか?』を書いていきます!

ユヴァル・ノア・ハラリの『緊急提言 パンデミック』要約・書評

前半は2020年3月15日の「タイム」誌と2020年3月20日の「フィナンシャル・タイムズ」紙と2020年4月20日の「ザ・ガーディアン」紙への寄稿。

後半はNHKのETV特集のインタビューであり、ユヴァル・ノア・ハラリとの60分」として放送されたものです。

『緊急提言 パンデミック』を要約

本書では、歴史学者である著者が"歴史的な視点から提言していること"について書かれています。

新型コロナウイルス感染症において、これまでの歴史が示している2つのことが次の通り。

  • 国境の恒久的な閉鎖によって自国を守るのは不可能である
  • 真の安全確保は、信頼のおける科学的情報の共有と、グローバルな団結によって達成される

そして著者が危惧している3つのことが次の通り。

  1. ウイルスの変異という脅威
  2. 生体情報の監視体制
  3. グローバルな指導者の不在

1.ウイルスの変異という脅威

ウイルスの変異という脅威は1つの国の問題ではなく、全世界の人々にとって共通の死活問題であるということ。

 

〈1.ついての提言〉

「あらゆる国のあらゆる人を守らなくてはならない。そのために必要なのは互いの信頼と団結である。」と提言している。

2.生体情報の監視体制

中国やイスラエルを例に挙げ、生体情報の監視がコロナ後も続く可能性を指摘し、そのことが私たちの自由を放棄する羽目になりかねないことを著者は危惧している。

 

〈2.についての提言〉

「誰であれ特定の一個人にあまりに大きな権力を与えてはならない」としながらも、「メディアや一般の人々は政治情勢に注意を払うべき」と訴えている。

3.グローバルな指導者の不在

金融危機やエボラ出血熱など、過去のグローバルな危機では、かつてのアメリカがグローバルなリーダーの役割を担ったが、現在のアメリカ政権はリーダーの仕事を放棄しているとして、グローバルな指導者の不在を危惧している。

 

〈3.についての提言〉

「新型コロナウイルス危機を戦争と考えるべきではない」としつつ、緊密な国際協力の必要性を訴えている。そして、「世界のどこの国で感染症が広まっても、全人類が危機にさらされてしまうことを、人々は認識するべき」と提言している。

 

【まとめ】

"私たちが直面している最大の危険はウイルスではなく憎悪と強欲と無知だ"と定義した上で、感染症の大流行への本当の対抗手段は、分離ではなく協力であること。そして、

最善の防御手段は、隔離ではなく情報であること。

これらのことを全体を通して訴えている。

『緊急提言 パンデミック』を読んだ感想・気付き

この本を読んだことで、コロナ時代において私たちが本当に恐れるべきもの、やるべきこと、知るべきことを教えられた気がしました。

気付きとしては、「グローバルなリーダーの不在」という事実にハッとしたこと。

各国の情報はメディアから入ってはくるものの、現在の状況を世界的に見る視点がないと、この考えに行きつかないと思います。

したがって、自分がグローバルな視点を持てていないことに気付かされました。。。やはり凡人は視野が狭いですね!(笑)

本書を読むということは、著者の物の見方を通して世界を見ることでもあります。

それによって、広く世界の状況を把握することにもつながり、自分にとってとても勉強になりました。

まだまだ世界的に不安定な状況ですが、世界各国が手を取り、この新型コロナウイルス危機に勝利する未来が来ることを期待したいと思います!

『緊急提言 パンデミック』著者紹介

著者紹介

ユヴァル・ノア・ハラリ

歴史学者、哲学者。1976年、イスラエル、ハイファ生まれ。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得。現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えるかたわら、2018年のダボス会議での基調講演など、世界中の聴衆に向けて講義や講演も行う。著書『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』は、世界的なベストセラーとなっている。

【訳者】

柴田裕之 しばた・やすし

翻訳家。早稲田大学、Earlham College卒業。訳書に、ハラリ『サピエンス全史』『ホモ・デウス』『21 Lessons』のほか、ドゥ・ヴァール『ママ、最後の抱擁ーわたしたちに動物の情動がわかるのか』、クリスチャン『オリジン・ストーリー』、ベジアン『流れといのち』、ケーガン『「死」とは何か』、オーウェン『生存する意識』、カシオポ他『孤独の科学』など多数。

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